No.004

UPDATE2013/11/1

つくることがすき。

サウンドエンジニアとしてテレビ番組はじめ映像コンテンツのサウンドデザインに携わっていた安達亨介。職人気質な世界での経験ゆえなのか、あるいは元々の志向なのか、制作物へのこだわりは人一倍強い。そんな彼の、ものづくりへ情熱の源泉を探る。

「つくることがすき。だから、つくる仕事を選んだ。」

昔から、ものづくりは好きでした。なかでもよく覚えているのが、小学生のときに買ってもらったレゴ。キット通りにつくるだけじゃなく、オリジナルの変形ロボットなんかも考えました。仕組みを考えることも、自分の手でつくるということも、どっちも楽しくて夜に布団から抜け出してまでつくっていましたね。

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そこから中学から高校にかけても、自動車のエンジンの仕組みに感動したり、ロボコン研究委員会に入ったり、音楽をやったりと興味の対象はあんまり変わりませんでした。サウンドエンジニアになったのも、高校の時にマイクの仕組みに感動して音響の専門学校に進学したことがきっかけです。

サウンドの世界は、まさに職人の世界でした。制作物に対するこだわりがケタ違いで、その分みんな厳しかったですね。新入社員として入社したとき、一番年の近い先輩が11コ上でした。10年間、採用しなかったということではなくて、毎年ちゃんと採っていたのに誰も残らなかったんです。4年間勤めましたが、その間に入った後輩たちもみんな先にやめていきました。それくらい、厳しかったんです。

「つくることがすき。だから、だれでもつくる時代を予想した」

そんな厳しい環境ではありましたが、嫌になってやめたというわけではないんです。映像の世界の奥深さも感じていたし、なによりチーム全員が妥協せずに持ち場をまっとうするという働き方は魅力的でした。

転機は地デジ化の発表でした。「いままでのテレビが使えなくなる」と聞いて、本当にみんなテレビを買い替えるのかなと疑問を持ったんです。それをきっかけにテレビを見なくなる人もいるんじゃないか、映像の主戦場はインターネットに変わるんじゃないかと思って。もともと、インターネットのインフラが急速に整ってきていることは知っていました。通信速度が改善されると、映像もストレスなく見れるようになります。

しかも、WEBの世界はテレビの電波と違って枠の制限がありません。映像をつくる側から見ても、必要な撮影機器や編集機材はどんどん安く、高性能になって来ていました。個人が映像をつくって発表する時代が絶対来るはず。そう考えたら、テレビって、今後も生きながらえるメディアなのかなと感じて。それがWEBの世界に転身した理由です。

テレビを取り巻く環境の変化は、予想よりは遅いけれどまんざら間違ってもなかったなと思っています。

「つくることがすき。だから、もっともっと、真摯にものづくりしたい」

その後、縁あってプラスディーに入社しました。映像関連や音響周りに加えて、最近では写真なんかも任されることが増えてきました。つくることは好きなので、もちろん一生懸命やるんですが、実は葛藤もあって。前職もそうですが、やっぱり職人と呼ばれる人は1つのことをひたすら極めていくので、その分野の技術は圧倒的で代わりが効かないんです。でも僕の場合は、デザインをメインでやって、その合間にほかの業務に取り組むというスタンスなので。とはいえ、今の働き方自体は嫌いじゃないんですが。

今後、会社の制作物のクオリティアップに必要だと考えているのが、フロント、エンジニア、デザイナーの垣根を越えた議論。映像の製作では、監督が各部門に指示するのはもちろん、制作の現場同士でも意見をぶつけ合うことが多くありました。みんなずっと映像の世界にいるので、部門外の部分も多少分かるし、「いい番組像」が高いレベルで共通できていました。WEBの世界は流行も技術も、変化の激しいので、それぞれの専門領域に口を出すのは難しいですが、それができればチームの質が変わるはずです。ものづくりのためなら、進んでケンカするような会社にしたいですね。

寡黙に、しかし情熱を持って、ものづくりに取り組む安達亨介。つくったもので有名になったりはしたくないのか? という質問への答えは、「名前が売れている人が実際に能力も高いとは限らない。無名でも力のある人はたくさんいる。自分は実際に一緒に仕事をして感じた能力しか信用しないし、人からもそうやって評価してほしい」というもの。まさしく、職人。

最後は、恒例のメンバーからのメッセージ。映像はじめ特殊案件をこなす職人にはこの二人から。WOWOW出身、映像のクオリティには妥協しない本田会長、安達とタッグを組んだ回数No.1のプロデューサー飯島から見た彼の印象は?

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Shinichiro Honda
彼は一言で“ザ・職人”。彼とのタッグで一番感心するのは僕の考えることの具現化を僕の想像以上のアウトプットで出してくれるところ。制作目線だけでなく、クライアント目線、プロデュース目線をしっかり持った作品を作ることができます。今後は自発的なアウトプットにさらに期待。
Hidemasa Iijima
僕が彼と一緒に仕事をするうえで大切にしていること、それは「阿吽(あうん)の呼吸」。 様々な現場を一緒に過ごしてきたことで、全てを言わなくてもこちらの意図を読み取ってくれて形にしてくれる唯一無二の存在です。これからも新しいことにチャレンジしていく上で、必要不可欠なパートナーですね。

安達亨介の+D ― DOUJINAI(動じない)―

スケジュールのタイトな案件、急に発生した修正、カラオケでのネタ振り。あらゆる場面で動じない(表情に出さないだけかも?)彼には、さまざまな依頼が飛び込む。頼みやすさ、バツグン。

No.004

Kyosuke Adachi

音響専門学校卒業後、サウンドエンジニアとしてNHK教育テレビ「真剣10代しゃべり場」テレビ朝日「TRICK トリック」はじめ多数のテレビ番組、DVDの製作に携わる。WEBの世界を志し、WEB製作会社1社を経てプラスディーにジョイン。業務内容はWEBデザイン、マークアップ、映像撮影、映像編集、サウンドデザイン、スチール撮影など、多岐にわたる。

PHOTO by Kiyotsugu Fujiwara : INTERVIEW by Yasuhiro Tanaka : BUILDING / PLANNING by Takumi Nariai : EDITING / PLANNING by Kiyotsugu Fujiwara