No.037

UPDATE2016/11/2

日本映画学校卒業後、フリーランスの助監督として活動してきた佐藤洋輔。映画『るろうに剣心』制作に参加したことをきっかけに、プラスディー制作作品に関わるようになり、2016年に社員として入社した。演出部一本でキャリアを重ねてきた彼の仕事観とは?

一筋

映像の仕事をしたいと最初に思い始めたのは高校生のとき。自分が死んだ後も残るようなものをつくりたいなと思ったとき、思い浮かんだのが映画で。それ以来、今でも、映画をつくることが目標です。

高校を出て、一旦は大学に入ったんですが、卒業後に映画学校に行こうと決めていました。その学費までは親に頼れないので、講義以外の時間はほとんどバイト漬けでしたね。どうせやるなら、映画づくりに活きるような経験がしたかったので、いろんな人間が見れる職場を選んで。講義が終わって夕方から夜までレストランで働いて、深夜から朝まではバー、早朝に新聞配達をして、一時間だけ寝たら講義に出かけるという生活を四年間続けました。

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そのお金で映画学校に入って専攻したのが、今でも仕事にしている演出。当時は業界の知識が全然なかったので、映画監督になるなら演出部で助監督からだろって。他の選択肢は頭にありませんでしたね。今思えば、撮影や編集、脚本を勉強したほうが役に立ったかもと思うこともありますが……。

安易な考えで選んだ演出の道ですが、仕事や人との出会いには恵まれてきました。映像業界って、演出部から入り込むのが難しいって言われてて。演出専攻の同期も大抵は制作部として働きはじめた奴がほとんど。そんななかで、僕は運良く演出部として現場に入れました。何の気なしにボランティアとして手伝った作品の経験が、募集条件に偶然ハマって。しかもその現場が、僕が今でも師匠と呼んでいる、チーフ助監督に出会うきっかけにもなったんです。たまたま最初の挨拶のときに、立ち上がって帽子を取ったら、「お前、挨拶“は”できるな」って気に入ってもらえて。それ以来、いろんな現場に呼んでくれて、仕事の進め方から身の振り方までを教えてもらっています。

筋書き

演出部、つまり助監督の仕事は、監督に選択肢を示すことだと思っています。助監督の仕事は根回しだって言う人もいますが、僕からすれば真逆です。現場の状況は常に変わるし、それに合わせて撮りたい画も変わっていきます。決まった演出方法に落ち着くように根回ししておくんじゃなく、作品を昇華させるためのより良い選択肢を渡すのが演出の仕事だと思っています。

それをするには、撮影の準備中から、現場で何が起こるのかをシミュレーションして、使われるかどうか分からない選択肢を無数に用意しておかないといけません。それこそ、1シーンに対して何十通りも案を用意しています。師匠の言葉を借りると、脳ミソに汗を掻く仕事。何本もの筋書きを用意して、使われるのは1本だけ。でも、使われない案を全力で用意します。プロとしてお金をもらう以上、やれることは全部やるのが筋だと思っているので。

ただ、本音を言うと、選択肢を用意する側ではなく、ジャッジする側、監督に少しでも早くなりたいという思いもあります。この2つは、似ているようで全く違う能力が求められます。だから、大きな作品の助監督をやるよりも、小さな作品で監督としての経験を積むほうが近道になる場合もある。実は、プラスディーに入ったのも、それが理由なんです。映画だけじゃなく、MVやCM、WEB動画も含めて、大小いろんな案件が走っているから、監督を任せてもらえるチャンスも多いだろうって。この業界、収入だけを考えたらフリーランスでいる方が稼げます。だから「なんで会社員になったの?」て言われることもあるんですが、その分チャンスをもらえる可能性があるので。

筋を通す

仕事の仕方じゃなく、意識の部分で一番大事にしているのは、筋を通すこと。映像の世界は、他の世界以上に、人のつながりでできています。上のポジションに行くにも、誰か引っ張り上げてくれる人が必要で、助監督から監督になるのもプロデューサーがチャンスをくれるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。自主映画で賞を獲って売り込むという手もあるにはありますが、助監督からステップアップするルートとしては、上の人に「あいつに任せよう」と言ってもらうというのが一般的なんです。じゃあ、どんな奴が引っ張ってもらえるか? 1番はやっぱり可愛がられる奴なんですが、愛されるのってセンスだなと思っていて。自分はそのセンスには自信がないので、その次にアピールできるのは何だろうって考えて思い至ったのが、筋を通すこと。律儀な奴は信頼されるし、まっとうな仕事を続ける奴は重宝されます。これはセンスなんかなくたってできることですからね。

センスの話で言うと、演出のセンスだってあるのかどうか分かりません。師匠からはいつも「センスないから辞めて別の道行ったほうがいい」ってずっと言われ続けているし、自分自身もこの仕事にすごく向いてると思ったことは一度もなくて。喋るのは得意だから、営業とかのほうが向いてるんじゃないかと思いますね。でも、向いてないことやったっていいと思うし、センスは磨いていけるものだと思うようにしています。大変だと思うことはあるけど、辛いと思ったことはないですね。世の中2種類の人がいると思っていて、草野球でのびのびやるのが楽しいのか、死ぬ思いしながら甲子園を目指して日々の辛い練習の先にある1勝を目指すのが楽しいのかは、人それぞれ。僕は後者のタイプでありたいと思っています。その時々にやりたいことをやるより、やらなきゃいけないことをやった先に、本当にやりたいことがあるっていう考え方なので。次にやらなきゃいけないことが見えているうちは、コツコツやっていきます。

映像という仕事を志した経緯から、仕事観までを語ってくれた佐藤洋輔。彼の口から何度も出た「筋」をキーワードに、文章をまとめてみた。そんなライディングの最中に見つけた名言を引用して締めたい。“自分自身の生きる筋は誰にも渡してはならないんだ。――岡本太郎”。佐藤の仕事への姿勢には、この名言に通じるものがある。

メンバーからのメッセージは佐藤をプラスディーに引き入れた映像制作事業本部長・平野と、事業部は違うものの、佐藤と現場をともにし指導を受けることも多い新卒ディレクター・岡崎から。

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Koji Hirano
もちろん、覚えてるよ〜。忘れたくても忘れないねぇwww なんて言っても「生ける刃物」なんて異名を持つスタッフ、そうそういないからね。痛いよ〜
印象? そうだねぇ〜最初に会った時は、パンピーとは一味違って、えらく気合の入った奴だったねぇ。それでいてさらに糞がつくほど真面目なんで、いい加減な奴とか、アーパーみたいな奴が許せないんでしょうね。特に筋を通さないやつは追い込みますからねwww ナグリで、おいおいそこまでってことも、、、事件にはなってないよ。まぁ、悪いのは向こうなんでねぇwww
ただね勘違いしちゃいけないのが、根は優しいからちゃんとすると本当面倒見もいいですよ。ある意味教えることも諦めないというか。まあ、切れた時のヤツは、もう空気すらスパスパいきますよ。痛いよ〜〜痛いっ!!
大変じゃないかって?ぎゃくぎゃく、さっき言ったように糞がつくほど真面目でねぇ、何があっても逃げないねぇ。後退のネジがないっていうかwww 絶対的な責任感があるのってすごいと思わない? そんな奴ですよ。出会ってこのかた向上心も尽きたことないし、勉強の方も熱心だから、生ける道を見つけたら最強じゃないかな?
あと、ナオンにもモテるからね。そこは本当、逆に痛いねwww
いいかな?こんなんで?今からギロッポンにシースー食べにシータクで向かわないといけないからwww
jun Okazaki
入社した時から、とても気さくに話しかけてくださった記憶があります。そんなことから第一印象は「元気なお兄さん」でした。ただ、いざ撮影現場に入ると、、、怖いです。現場の動きを鋭く察知し、臨機応変に素早く対応する。仕事とそれ以外の切り替えがとても上手な方です。 この前一緒に出張に行かせていただいた時、「体の筋」を大胆に痛めていたとのことでしたので、自らの筋は通しつつもお体はくれぐれもお気をつけください!

佐藤洋輔の+D ― DOYANKEE(ドヤンキー) ―

前回の小松に負けず劣らず強面の佐藤。若かりし日のやんちゃエピソードは不良漫画さながら。ちょっとここには書けない内容なので、興味のある方は本人に聞いてみてほしい。

No.037

Yosuke Sato

日本映画学校21期卒。卒業後はフリーの演出部として映画、ドラマ、CMなどの制作に携わる。2016年プラスディーに入社。前回取り上げた小松に負けず劣らずのやんちゃエピソードを持つ。

PHOTO by Jun Okazaki : INTERVIEW by Yasuhiro Tanaka Shun Nishida : BUILDING by Daon Kim : PLANNING by Kazuki Ishiguro : EDITING by Kiyotsugu Fujiwara