No.029

UPDATE2016/3/1

LINE

今回のONE MONTH ONE FEATUREは特別篇として、別コンテンツ用に用意しながらお蔵入りとなっていた、ムービーDiv.ラインプロデューサー鈴木大造のインタビューをリライトしてお届け。TVドラマ『アオイホノオ』や映画『HK/変態仮面 THE ABNORMAL CRISIS』『女子ーズ』『神様はバリにいる』など、数々の映像作品に携わった彼の仕事感とは?

Creative LINE ~制作の道筋~

ラインプロデューサーって言われても、映画に携わっている人以外にはよくわからない肩書きですよね。普通のプロデューサーとどう違うのって思う方もいるかもしれません。プロデューサーの場合は、「どんな映画を作るか」といった企画開発段階から携わることが多いんですが、ラインプロデューサーはつくりたいものが決まってから、それをどう実現するか、実制作の管理をする役割と思ってもらうと分かりやすいかもしれません。

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映像制作には、美術制作や出演者のアサイン、スタッフの人員配置など様々な業務があります。ラインプロデューサーはそれぞれの項目がどれくらいの予算で実現できるかを見極め、クオリティを担保します。映画撮影の場合、撮影を進めるなかで当初の見積もりとのズレがどうしても発生します。予算の範囲内で作品が完成するように調整したり、予算をはみ出すような事故が起きないように撮影現場をチェックしたりしながら、映像制作〜納品までの道筋を整えていくようなイメージです。僕自身は、普段お付き合いのある監督さんからの指名をもらい、プロジェクトに参加することが多いですね。こうして、ひとつの仕事が次の仕事に繋がるような動きが出来ていることは嬉しいことです。

Winding LINE ~曲がりくねった人生~

この職業に就いてしばらく経ちますが、すんなりとここまで辿り着いたわけではなくて。映像業界に興味を持ったのは、高校生の時。永瀬正敏さん主演の「私立探偵濱マイク」というドラマを見てすごくシビレまして、映像業界に進みたいと思ったんです。それまで、これといってやりたいことがなかった自分が、初めて仕事にしたいと思えたのが映像でした。そこから、地元・千葉を飛び出して入学したのが、映像を学べる大阪芸術大学。テレビドラマや映画について座学で学ぶ傍ら、映画研究部で先輩の映画撮影の手伝いをしたりしていました。熱心に映像に打ち込んでいたように話しましたが、本当はけっこう自堕落な生活を送っていました。

ゼミは照明を専攻したんですが、照明の仕事を3年続けたら海外留学できる制度があると聞きつけて。教授の紹介で照明会社で働こうと決めていたので、就職活動もしませんでした。卒業して、その会社に入ったのですが、1週間で辞めてしまいました。おじさんがおばさんにセクハラしてるのを目撃して、衝撃を受けちゃって……。その後は、プールの監視員をしばらくやって。「なんで⁉」とよく聞かれますが、映像業界でも何でも体力が資本だと思ったからと答えています。半年ほど経った頃に、ご縁から紹介して頂いたプロモーションビデオの撮影現場にもぐり込めた事が、ラインプロデューサーになるきっかけです。今の上司であるプロデューサーの平野ともそのとき出会いました。

そこから10年間はフリーの制作部(ロケハンをしたり、ロケ隊の車輛・宿泊・食事の手配をするパート)として働いていたのですが、平野から声を掛けてもらい、映像制作会社「ロックワークス(現在プラスディー/ロックワークスレーベル)」に入社し、今に至ります。

Emotional LINEs ~琴線が動くとき~

仕事をしていて嬉しいのは、憧れの人に出会えたとき。例えば、ちばてつやさんや松本零士さんといった漫画家さんや、僕が映像に興味を持つきっかけとなった濱マイクの永瀬正敏さんなどにお会い出来た時はすごく嬉しかったですね。様々な人との出会いがある楽しい職業だなと思います。あとは、普通のことだと思われそうですが、何事も無く作品制作を終えられるときも嬉しい瞬間のひとつです。ラインプロデューサーというのは制作過程で問題は起きないようにするのがお仕事なので、「何かが起きている」ということは、僕の仕事に問題があるということ。ハプニングが起きないことが、仕事ができているバロメーターなんです。

仕事の失敗は、沢山あります。たぶん、同業同年代の方たちの中で自分が一番怒られているのではないかと思うくらい、失敗を積み重ねて来ております。バリで学んだ教訓、「失敗した時こそ笑え!」という“兄貴”の教えを支えに、失敗はチャンスと思ってめげずに精進しております。

仕事の醍醐味を存分に語ってくれた鈴木大造。ラインプロデューサーに向いているのはどんな人? という質問への回答は「この仕事しか自分には向いていないと、アホなくらいに仕事に打ち込める人かな」。労働時間が長く、時給換算すると恐ろしいよと笑うその顔には仕事への愛がうかがえた。

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鈴木大造 の−D ― −DAIZO ―

とにかくオフィスにいないことで知られる鈴木大造。撮影が始まると現場に出づっぱりのため、たまにオフィスに出てくると「久しぶり」という挨拶が飛び交う。

No.029

Daizo Suzuki

大阪芸術大学卒業後、10年間フリーランスの制作部として映画やTVドラマの制作に携わる。2012年ロックワークス(現プラスディー・ロックワークスレーベル)へ入社。以降、ラインプロデューサー業務を担当。

PHOTO by Naoki Umeda : INTERVIEW by Sayaka Horii & Yasuhiro Tanaka : BUILDING by Norikazu Teraguchi : PLANNING by Kota Takahashi : EDITING / PLANNING by Kiyotsugu Fujiwara